漫画『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』の作品紹介
お人よし悪役令嬢と完璧超人な王太子の溺愛コメディ
- 王太子視点で描かれる、心優しい悪役令嬢とのほのぼのコメディ
- 乙女ゲームの設定を活かしたストーリー構成
- 繊細かつ豪華で、丁寧に描かれる作画の美しさ
原作:しき
漫画:蓮見ナツメ
出版社:アルファポリス
2024年10月現在、コミックス全6巻+番外編(全17ページ)完結済み
続編『自称悪役令嬢な妻の観察記録。』が連載中
漫画『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』のあらすじ
何ごとも完璧にこなせてしまう、優秀すぎる王太子「セシル」。
セシルは10歳のときに、婚約者の侯爵令嬢「バーティア」と初対面した際、「私は悪役令嬢ですの!!」と高らかに宣言されてしまう。
前世の記憶があるというバーティアは、きらきらした眼差しで説明する。
ここは生前ハマっていた乙女ゲームの世界であり、自分はいずれ婚約破棄され、没落するのが役目なのだと。
「一流の悪の華になってみせます!」と告げるバーティアを、セシルは「面白い」と判断し、しばらく観察してみることに。
奇想天外な発想と行動力で「悪役令嬢」を目指すものの、もともとバーティアは悪役に向かない性格なので、その頑張りは空回りぎみ。
セシルにとって、バーティアは退屈しのぎの存在だったはずが、バーティアの感情豊かさ、愛情深さ、純真無垢な人柄に触れるうちにどんどん惹かれていき、溺愛するようになる。
だが、セシルが最後に選ぶべき「運命の乙女」はヒロインである男爵令嬢「ヒローニア」なのだと、バーティアは頑なに譲らない。
なぜバーティアは、セシルとヒロインが結ばれることにこだわるのか?
なぜ破天荒すぎる性格のバーティアが、王太子セシルの婚約者に選ばれたのか?
「原作の乙女ゲームがそういう設定だから」という単純な理屈ではない真実が、やがて明らかになる。
漫画『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』の感想
主役2人の魅力と、相思相愛の仲睦まじさ
本作は悪役令嬢ものだが、物語の視点となる主人公は「王太子セシル」。
眉目秀麗、頭脳明晰という完璧超人のセシルだが、感情が希薄で他人に興味を持てないという欠点を抱えている。
セシルにとって唯一の「特別」になるのが、婚約者のバーティアだ。
2人の仲のよいやり取りは微笑ましく、セシルのバーティアへの愛情と執着が深まるにつれ、ハッピーエンドの期待を高めてわくわくさせてくれる。
バーティアは、「お人よしな悪役令嬢」が好きな方におすすめの愛されキャラだ。
感情豊かで天真爛漫。
貴族令嬢たちの庇護欲をそそる人たらし。
努力家な一面や、セシルの幸せを願ういじらしさなど、人柄を知るほどに好感が持てるので応援したくなる。
バーティアの魅力は、可愛らしさだけではない。
よくも悪くもパワフルで、登場ひとコマ目から「悪役令嬢宣言」をするなど、予想外の発言を連発。
バーティアの突飛な発言と、やや暴走ぎみの行動は、冷静沈着なセシルをも動揺させるという意外性を引き出してくれるのが面白い。
バーティアが次は何を言い出すのか、何をし始めるのか。
セシルがどんな反応をするのか。
2人のやり取りには、ついついページをめくってしまう楽しさがある。
乙女ゲームの設定を活かしたストーリー構成
セシルたちが生きる世界の元になっている乙女ゲームでは、複数の攻略キャラと複数のエンディングがあり、逆ハーレムルートも存在する。
現実的にはあり得ない逆ハーレムが、なぜ成立し得るのか?
作中でセシルが抱く疑問に対する答えとして、裏設定がきちんと用意されている。
この設定、なかなかのチカラ業だが、意外と重要度が高い。
「ゲームの攻略対象たち」と「実在の攻略対象たち」はまったく異なる存在で、カップルとなる令嬢たちに抱く彼らの恋心がいかに嘘偽りないものか、強調させる意味合いがあるからだ。
つまり、現実のセシルやバーティアたちが生きる世界においては、セシルや攻略対象たちがヒローニアに「浮気」する可能性は一切ない、ということを示唆している。
「ゲームにありがちなご都合設定」で終わらず、設定の効果がストーリーに反映されているところに、構成の完成度の高さを感じずにいられない。
繊細かつ華やかで、丁寧に描かれる作画の美しさ
王族貴族が登場する作品では、キャラクターの衣装や小物の華やかさが重要となる。
そのため、花やレース・フリルといった素材が活用されるが、そこだけ作画の線の細さが異なるせいで、画面に違和感がある作品が少なくない。
その点、本作は素材が作画になじんでいるので、素材の不自然さがほとんどない。
最初から最後まで、キャラクター・衣装・背景のすべてが丁寧に描かれ、華やかで見栄えのする、目で見て楽しい作品だ。
関連URL
【コミカライズ:アルファポリス】
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』
【続編コミカライズ:アルファポリス】
『自称悪役令嬢な妻の観察記録。』
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