漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の感想

外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
アイキャッチ画像
目次

漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の作品紹介

「歪み」を抱えた狂犬姫と腹黒王子の、恋と救国の物語

要約
  • 貴族令嬢が圧倒的なチカラで悪を成敗する痛快さ
  • 癖の強い主役カップルによる、感情の揺れ動きと駆け引き
  • 作画の美しさと、爽快感のあるバトルシーン

原作:鳳ナナ
漫画:ほおのきソラ
出版社:アルファポリス
2024年10月現在、コミックス9巻まで発売中
2025年TVアニメ化決定

漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』のあらすじ

気高いクールさから『氷の薔薇』という二つ名を持つ、公爵令嬢「スカーレット」。

スカーレットは舞踏会の場で第二王子「カイル」から婚約破棄を言い渡され、身に覚えのない罪で悪役令嬢呼ばわりされてしまう。

カイルの新たな婚約者「テレネッツァ」や悪徳貴族たちから嘲笑され、長年カイルの理不尽に耐え続けてきたスカーレットは、ついにブチ切れる。

「全員 ブッ飛ばしても構いませんわね?」

(引用:『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』コミックス1巻)

手始めに、テレネッツァの顔面にスカーレットの拳が炸裂。
悪徳貴族たちを容赦なくボコボコにするスカーレットの姿に、人々は彼女の本来の二つ名を思い出す。――『狂犬姫』と。

この騒動をきっかけに、スカーレットは第一王子「ジュリアス」や実兄「レオナルド」と共に、国内にはびこる悪徳貴族の一掃に動き出す。

不穏な動きを見せる、宰相「ゴドウィン」と周辺各国、パルミア教。そして男爵令嬢テレネッツァ。
世のため人のため、スカーレットは戦いに身を投じることになる。

漫画『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』の感想

狂犬姫が悪人を成敗する痛快なストーリー

「細かいことはさておき、悪人をぶっ飛ばす作品が読みたい」

そう思っていたときに出逢ったのが、この作品。
1巻の扉絵を見ただけで「もう好き」となった。

成敗された悪人たちで築かれた山。
その頂点に腰をかけて優雅に微笑むスカーレット。

「読みたいものがここにある」と確信させてくれる扉絵に、物語が始まる前からわくわくする。

物語は、「悪役令嬢もの」定番の婚約破棄から始まる。
最初の「ざまぁ」は、スカーレットが婚約破棄を承諾した直後に描かれる。

顔面をグーでぶっ飛ばされる男爵令嬢テレネッツァ。
顔色を変える第二王子カイル。
ざわつく悪徳貴族たち。

魔法と【神の加護】を使いながら容赦なく暴れまくるスカーレットに二度、三度スカッとするので、1話だけでも何度も手軽に「ざまぁ」展開を楽しめる。

「とりあえずムカついたので 全員ブン殴りました」

(引用:『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』コミックス1巻)

スカーレットが悪人を懲らしめると、なぜスカッとするのか?

スカーレットには悪人を成敗する正当な理由があり、悪人は裁かれるだけの悪事を働いているからだ。

奴隷売買、不正、重税、横領。
『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』に登場する悪徳貴族は同情の余地のない「悪」なので、スカーレットにボコボコにされて「ぎゃふん」される姿にスカッとする。

スカーレットと敵対しても、「奴隷紋を刻まれたせいで抗えない」といった事情のあるキャラには、ちゃんと救済が用意されているので読者の心が痛む心配はない。

自分たちが絶対的優位だと勘違いしている悪人を、スカーレットが圧倒的なチカラでねじ伏せ、状況を逆転させる痛快さ
それがこの作品の一番の魅力と言える。

「正しさ」だけではない、「歪み」を抱えた人物像から生まれる面白さ

舞踏会での断罪劇が終わると、物語はスカーレットと第一王子ジュリアスを中心に展開していく。

ジュリアスにとってスカーレットは「お気に入り」
だが、スカーレットにとっては「天敵」以外の何ものでもない。

まっすぐすぎる性格ゆえに世間知らずなスカーレットは、ジュリアスのいいようにからかわれてしまうからだ。

ジュリアスの言葉ひとつにムキになったり、戸惑ったり、頬を赤らめたりと、『氷の薔薇』と呼ばれるスカーレットがジュリアスに対しては表情豊かになる。

「狂犬姫」ではない普通の少女らしい表情や心の揺れ動きは、読者に親近感を抱かせ、魅力的に感じさせる効果がある。

また、2人は「同類」でもある。

2人が悪人を成敗するのは「世のため、人のため」。
こう書くと正義感が強い人物のように思えるが、2人とも人格の根幹には「歪み」があり、本人たちもその自覚がある。

子どもの頃から「とにかく人を殴るのが好き」だったスカーレット。
「愚か者が破滅する様を見るのが好き」だったジュリアス。

おおっぴらには言えない「歪み」を知る身内はいても、当たり前のように受け入れ、さらけ出せる存在はお互いのみ。

駆け引きめいた会話の面白さは、スカーレットとジュリアスが率直に本音を言い合える関係だからこそ成立する。

背中を預けられる関係でもあり、正面から殴り合える関係でもある2人。
スカーレットとジュリアスの「特別な信頼感」が、この作品の面白さをより深める要素となっている。

ジュリアス
「なんということだろう」
「私はついに 運命と出会ってしまった」

(引用:『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』コミックス1巻)

作画の丁寧さと美しさ

人物の描き分け、表情の細やかさ、建物や衣服の華やかさ。
コマの見せ方に至るまで、全体的に作画が美しく読みやすい。

この作品の見どころといえば、やっぱり「悪人がボコボコにされる場面」

スカーレットが拳や足技を駆使して戦う姿は、さまざまな構図が違和感なく描かれるので、ストレスなく楽しむことができる。

スカーレットが大人数のモブ悪人を相手にするときには、イキイキと一掃する姿を。
タイマンのときには、スピード感と緊張感のある駆け引きを。

勢いと迫力のある画面構成で描かれる戦闘を、スカーレットと一緒に楽しむことができる。

関連URL

【原作公式サイト】
『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』

【TVアニメ:公式サイト】
『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』

【コミカライズ:アルファポリス】
『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』

【原作小説:アルファポリス】
『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次